欺罔行為
欺罔行為の定義は「交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ること」とするのが、一般的だと思う。
この定義は欺罔行為自体に財産的損害を生じさせる危険を内包させるためだと思っているが正しいだろうか。
『重要な事項を偽られ、錯誤に陥った状態で交付行為を行うと財産的損害が生じる。』ではなく、『ある事項を偽ると財産的損害が生じる危険がある場合、その事項は交付の判断の基礎となる重要な事項といえる。』という理解だ。
こう考えると成人雑誌事例は理解しやすい。では最決S23.6.9の電器あんま器事件はどうだろうか。
「お客様ぁ!中風とか小児麻痺!あれ困りますよねぇ!そこでこのあんま器!
このあんま器はそんな症状を治しちゃうやべー奴で、なかなか、なかなか!手に入らないものなんですが、なんと、なんと今なら皆さまに1980円でご提供致します!さぁらぁにぃ!あの沖縄料理で有名な、にんじんしりしり!…」
と定価1980円の普通のあんま器を販売した場合、普通のあんま器を「なんでも治しちゃうやべー奴」と偽ることは、購入者が、それが普通のあんま器であると知っていればそもそも買うことはなく、「やべー奴」だから買ったのであるから、信じて支払った代金は、個別財産の減少といえる。上記のような事項を偽ることは財産的損害を生じさせる危険があるといえる。
よって「やべー奴」と偽ることは「交付の判断の基礎となる重要な事項を偽った」といえ、欺罔行為にあたる。
当分はこれで行こうと思う。
まぁ試験でダメ出しくらいそうな気はする。